アーキテクチャモダナイゼーション ―組織とビジネスの未来を設計するを読んだ。
Nick Tuneらによる『Architecture Modernization』(Manning)の邦訳。
「モダナイゼーション」を、レガシーコードのリファクタリングや基盤の入れ替えといった技術タスクに閉じず、技術・組織・戦略を一体で扱う社会技術的(sociotechnical)な営みとして位置づけている。読者対象も、エンジニア・アーキテクトだけでなく開発リーダーやマネージャー、経営層まで含めて書かれている。
主に扱われている題材:
- ビジネス目標から始めるモダナイゼーション(もたらす価値をBVSSHのようなフレームワークで多面的に評価する)
- ヒアリングとマッピングによる現状把握
- ウォードリーマッピングでの戦略・進化段階の可視化
- プロダクト分類体系
- ビッグピクチャーイベントストーミングによるドメインの俯瞰
- DDD・チームトポロジーを軸にした、ドメインとチーム境界の再設計
特徴的なのは、DDD/イベントストーミング/ウォードリーマッピング/チームトポロジーといった「個別に語られがちな手法」を、モダナイゼーションという1つの目的のためにどう組み合わせて使うかを通しで示している点。それぞれの手法を単体で読んだことがあっても、つなぎ目で迷うことが多いので、地図として有用。
ありがちな「リプレース計画書」ではなく、「いまの組織・プロダクト・市場をどう読み取り、どこから刃を入れるか」を考える本。レガシー刷新の意思決定に関わる立場の人にとって、共通言語を作るのに使える一冊。